「郊外」の歴史
State and Local Land Managementのクラスで、"Building Suburbia"(Hayden, 2004)という本を読みました。1回の授業のために200ページ読んでこいと言われてちょっと泣きたい気分でしたが、なかなかの佳作。タイトルのとおり「郊外」拡大の歴史を描いた本で、アメリカの住宅政策が概観できるだけでなく、逸話的に楽しめる話や見て楽しい航空写真が盛りだくさんです。以下、ものすごく大雑把にまとめてみました。
- 19C前半~中盤: 都会の喧騒を避けて都市の辺縁地域に中流階級が流出し始める(Borderlands)。富裕層のユートピアとして郊外コミュニティを建設する動きも見られるようになる(Picturesque Enclaves)。
- 19C後半: 大規模な開発業者が登場。宅地開発推進の一環として路面電車の整備を勧め、"Why pay rent?"をスローガンに労働者階級の持ち家志向を煽る(Streetcar Buildouts)。
- 20C前半: 大衆車の登場で郊外移転が更に加速。住宅の通信販売(パーツだけ買って自分で組み立てる→Mail-Order and Self-Built Suburbs)が大々的に広まるものの、組み立て切れずにガラクタの山と化す住宅が現れる。インフラ整備も追いつかず、無計画な宅地拡大が社会問題化。フーバー大統領が登場し、国家的ハウジングプロジェクトに先鞭をつける。地方自治体にゾーニングの権限を与える法律も1920年代に制定される。
- 1945~20C後半: 戦後の住宅需要の急増に応え、開発業者による画一的なデザインの住宅供給が加速(Sitcom Suburbs)。連邦政府は自動車業界のロビー活動等を背景に、民間の住宅建設と高速道路建設にジャンジャン補助金をつぎ込む(いまだに一体いくら使われたのか不明)。やがて沿道のガソリンスタンドや小売店を核に新たな市街地が形成される(Edge Nodes)。更に沿道商業地域の外側へも宅地が拡大(Rural Fringes)。郊外化は今も進んでいる。
個人的に一番おもしろかったのは通信販売です。一時は新規に建設される住宅の3分の1が所有者本人の手で建設されていた時期もあったとのこと。さすが本場DIYは規模が違うわと呆気に取られたのも束の間、やっぱり手に余って放り投げる人がいたという点、その結果生まれた美しくない住宅地がフーバー⇒ルーズベルトと続く米国の住宅政策やゾーニング法制化の推進力になったという点に歴史を感じました。これから徐々に、スプロール防止策その他、土地利用規制の話が始まる予定です。
さて、本日の写真は定点観測アナーバー。久々の雪に興奮して新雪を蹴って楽しんでいたら3分で爪先が凍結寸前。激しく後悔しました…。
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